日本のマスメディアは、ファクトチェックをせよ!:10/7パレスチナ問題の本質
国際司法裁判所も国連もイスラエルにおける不法な入植を継続的に違法だと主張し続けています。しかしイスラエルは一切聞く耳を持ちません。75年間、毎日のようにパレスチナ人は殺され続けてきました。ハマスがしたことは「正当防衛」であり、不法な占領への「抵抗」なのです。抵抗しなければ殺されるか、土地を占領されてしまうから、他に手段がないのです。イスラエルは話を聞く相手ではないのです。それでも不法者に抵抗することは正当化できないと考えるのか?暴力を使わない方が良いことは当たり前。しかしそれは相手次第です。駐日パレスチナ大使が言うように、イスラエル人は約束(1993年のオスロ合意)を守らない人たちです。10年以上経っても約束が実行されない状況でパレスチナ人は業を煮やします。すると2006年に民主的なプロセスを経て正式にハマスが選挙に勝利しました。民意でハマス政党が第一党となったのです。なぜハマスが選ばれたのでしょうか?なぜなら話し合いの合意だけでは、もはや何も変わらないと市民が判断したからです。オスロ合意後すぐにイスラエル側がパレスチナ国家を承認して、22%の領土でパレスチナ側が独立していれば現在の問題は起きていなかったと考えられます。イスラエル人(シオニスト)は約束(1993年のオスロ合意)を守らないばかりか、その後も国際法上違法な入植を継続してきたのです。そもそも国連が認めたパレスチナ人の国をイスラエルが全部占領してしまった(だからもともとパレスチナ人が住んでいたのに「パレスチナ自治区」と呼ばれている)からです。イエスラエルの占領者側から見れば、パレスチナ人の抵抗を「テロ」としてみなすことで、パレスチナ人を虐殺する大義を作っているだけです。国際社会もテロを抑え込むためであれば、国家によるテロ行為も辞さない、仕方がないと容認している風潮があります。パレスチナ国家を認めず、100%イスラエル人国家を作ることが「シオニズム」です(マスメディアはハマスを非難する前に、シオニズムの過激性を何度も何度も強調すべき)だからイスラエルにとってハマスはテロリストである必要があるのです。テロリズムを連想させる「イスラーム原理主義」や「イスラーム過激派」とハマスにレッテルを貼ることで、イスラエルは「国家テロ」や「シオニズム」を正当化できるからです。これは喧嘩両成敗ではありません。パレスチナ側に一方的に正義があるのです。今回、ハマスとイスラエルの衝突の発端を見ると、メインストリームのメディア報道ではイスラエルでのミュージックフェスティバルにおいてハマスがイスラエル人260人を殺害して、224人を人質として拘束したことにあると言われています。その報復として、イスラエル軍がガザ地区を空爆し始めたという理屈です。ところが、ロイター通信など複数のメディアのファクトチェックによると、イスラエル人260人をハマスが殺害した証拠(写真や映像)は一切ないと結論づけています(ワスル通信の配信した生存者の証言では、無差別に発砲してイスラエル人を殺害したのはイスラエル軍と証言しています)。ハマスによって40人の赤ちゃんが斬首されたという事実は一切ないと結論づけています。もしこれが正しいなら、イスラエルがガザ地区のパレスチナ人を殺害する正当性がなくなります。またハマスが人質を拘束している真の理由にメディアは全く言及しません。日本のマスメディアは、ファクトチェックをせよ!

ガザ地区の死亡者数は毎日増加しています。ところが、なぜイスラエル側の死者数が減っているのか?NHKがこんな初歩的なミスをするとは考えにくいです。10月7日の事件以降、イスラエル側の死者数は、実は1400人のまま増えていません。ところが11月14日の記事では、1200人に死者数が減っているではないですか!後日イスラエル警察が死者の身元を確認したら、200人はハマス戦闘員であったことが判明!11月18日付けのALJAZEERAや11月19日付けのDOHA NEWSの記事では「(イスラエル)警察の捜査では、イスラエル軍のヘリコプターが(ハマス)襲撃者らに発砲し、フェスティバルの参加者の一部にも命中したことも判明した」と発言があった!つまりイスラエル軍がイスラエル人を自ら殺害したことが明確になりました。
https://new.thecradle.co/articles-id/13111


https://dohanews.co/israel-admits-killing-its-own-people-at-music-festival-on-october-7


一部と言っていますが、1200人のうち何人が実際にイスラエル軍のヘリコプター攻撃によって死亡したかは明らかにされていません。ということは、イスラエル軍が1200人全員殺害したかもしれない可能性があるということです。ハマスは誰1人もイスラエル人を殺害しておらず、人質を取っただけかもしれません。人質は捕虜となっているパレスチナ人を解放させるためです。「ハマスがイスラエル人を殺害した」という点はパレスチナを攻撃する大義になっているから極めて重要なのです。それが今では「イスラエル軍が無差別に自国民を殺害していた」ことが明らかになったわけです。日本のメディアがこのように重要な情報を黙認しているのはなぜでしょうか?
衝撃!イスラエルの真の動機:ベングリオン運河計画とガザ地区の大虐殺!

https://www.turkiyenewspaper.com/politics/16892

https://www.newarab.com/news/what-israels-ben-gurion-canal-plan-and-why-gaza-matters?amp

ベングリオン運河(青色の線)の安定的な管理には、運河に隣接するガザ地区北部からハマスの脅威を排除する必要があった。東西貿易の要所になるこの運河を制するため、なぜヨーロッパの国々が親イスラエルなのか判明した。しかし経済覇権のために人命を犠牲にすることは断じて許されない!
https://tanakanews.com/240208israel.htm
イスラエルでなく米覇権を潰すガザ戦争
2024年2月8日 田中 宇
国連の国際司法裁判所(ICJ)が2024年1月26日、イスラエルがガザ戦争で、人道犯罪を禁止したジェノサイド条約に違反する虐殺行為=人道犯罪を犯したと認定する判決を出した。ICJは、イスラエルに対してガザでの即時停戦を命じた。(Prevention and Punishment of the Crime of Genocide in the Gaza Strip)(Summary of the Order of 26 January 2024 (判決要旨))
この判決により、イスラエルは正式に「人道犯罪国」になった。日独と同じ「極悪」な国になった。イスラエルは日独みたいに、世界に向かって永久に「土下座」と「反省」を強要される国になった、はずだ。パレスチナ人の大勝利、なはずだった。(International Court Says Israel Has Likely Committed Genocide – Updated)(ICJ lands stunning blow on Israel over Gaza genocide charge)
だが、その後の現実は全くそうでない。ネタニヤフ首相らイスラエル政府は、ICJの判決を全面拒否し、ハマスのテロを容認する全く間違った判決だと言って激怒してみせた。ネタニヤフは、判決を無視したまま、ハマスとの停戦(人質解放)交渉が破綻したのでハマスに完勝するまで戦争を拡大しつつ続けると宣言した。(Israel rejects ‘outrageous’ ICJ genocide ruling)(Israel-Hamas Deal Is Dead As Netanyahu Dismisses ‘Delusional’ Terms, War To ‘Expand’)
イスラエルだけでなく、米国とその傀儡のEUなども、ICJの判決を否定し、イスラエルへの支持をあらためて表明している。米国がイスラエルの傀儡であり、EUやドイツなど欧州が米国の傀儡である構図が再露呈した。(Israel’s Reputation Takes A Hit In World Court Genocide Case)
ICJの判決は拘束力がある。判決を受けて、国連安保理で、イスラエルに停戦を強いる決議案が出された。安保理は、世界の諸国に対し、強制力をともなう命令を合法的に下せる世界で唯一の機関だ(米国の軍事行動の大半は非合法な侵略行為)。安保理がイスラエルに停戦を命じ、イスラエルが拒否して戦争を続けた場合、安保理は国連軍を組織して強制的にイスラエルを停戦させる(国連軍がイスラエル軍が交戦して潰す)ことができる。(Vetoing justice in Gaza: The collapse of the UN Security Council)
そうなったらすごかったが、米国が安保理で拒否権を発動したので停戦案は否決された。ICJの判決を受け、国連事務総長がイスラエルによる市民殺戮(虐殺、人道犯罪)を非難しつつ停戦を求めたが、イスラエルに非難し返され、米国に無視されて終わった。被告が有罪判決を無視しても何の報復も受けずに済んだ今回のような場合、それは裁判所(今回はICJ)の権威の低下になる。次に有罪判決を受けた者も、判決を無視するようになる。(UN Chief Blasts Israel’s War in Gaza for ‘Killing Civilians on Unprecedented Scale’)
米欧は、ICJ判決に反対し、国連のイスラエル制裁案を潰しただけでなく、イスラエルを非難した国連への報復として、国連のパレスチナ支援機関(UNRWA)に対する資金供給も減らしてしまった。UNRWAは、飢餓に陥っているガザ市民に食料などを支援している重要な機関だ。米欧は、イスラエルに極悪な人道犯罪を許しただけでなく、ガザ市民を餓死させることまでやっている。(War On UN – West Retaliates Against ICJ Order By Defunding Humanitarian Mission For Palestine)
国連は、戦後の米覇権体制の基盤である。イスラエルは(密通しているハマスを動かして)ガザ戦争を起こし、ガザ市民を大量殺戮する人道犯罪を犯すことで、米国に国連潰しをやらせている。イスラエルは全くひるんでいない。これは意図的な策だろう。米国の後ろ盾は、イスラエルのちからの源泉だ。なぜイスラエルは、米国の覇権を支える国連を潰しているのか。一見不可解だが、実はそうでもない。(As Palestinians in Gaza Face Mass Famine, US & Allies Cut Funding to UN Aid Agency)
パレスチナ国家の創設は、米国が覇権国になった直後の1947年に国連が可決した分割決議に基づいている。あの決議がなければ、イスラエルは建国戦争(第一次中東戦争)で完勝して西岸とガザからもパレスチナ人(というよりアラブ人)をエジプトやヨルダンなどに完全に追放(ナクバ)し、シオニズムを完遂していた。米英(というより前覇権国の英国)が、イスラエルの強国化を阻止するため、イスラエルの建国戦争を途中で止めさせ、イスラエル建国予定地内にアラブ人を残し、パレスチナ国家創設の決議を国連で通し、イスラエルの領土を半減させた。(イスラエルの虐殺戦略)
それから80年近く経ち、米英覇権は自滅しつつある。イスラエルが、自国を弱体化させるパレスチナ建国策を潰すなら今しかない。イスラエルは米国を傀儡化したまま、ガザ市民を大量虐殺して大胆露骨な人道犯罪を犯し、米国がイスラエルに味方してICJや国連の権威を失墜させるように仕向けた。極悪な人道犯罪国家であるイスラエルを徹底擁護する米国は、覇権失墜に拍車がかかっている。イスラエルは、唯一の後ろ盾である米国のちからが失われても良いのか??。米国の覇権は、イスラエルがどう動こうが、数年から10数年内に完全に失われる。ならば、米国に覇権が残っているうちに、シオニズムの完遂を阻止をしてきた国連ごとパレスチナ国家の枠組みを破壊するのが良い、ということなのだろう。
今回の人道犯罪は、米英が覇権維持策として続けてきた「人権外交」を根本から潰すものでもある。人権外交はイスラエルにとって、敵であるイスラム諸国に人権侵害のレッテルを貼れる便利なものだった。それを潰して良いのか??。これについて考える際に重要なのは、イランやサウジ、トルコといった主要な中東イスラム諸国が今回、本質的にイスラエルを敵視していないことだ。(The enemy within: Arab states that trade with Israel)
イスラム諸国は表向きイスラエルを非難している。だが、トルコはアゼルバイジャンの石油が自国のパイプラインと積み出し港を経由してイスラエルに輸出されるのを止めていない。イランの大統領が最近トルコを訪問したが、2国間会談の中で強いイスラエル非難が出てこなかった。サウジも、イスラエル非難を避けている。サウジは、イスラエルと国交を結んでいるUAEが、サウジと、サウジ傘下のヨルダンを経由してイスラエルに輸出商品を送るのを容認している。ヨルダンで、この輸出に反対するデモが起きたが、サウジとヨルダンの王政は反対運動を無視している。(War on Gaza: Jordan in hot water after report it’s helping Israel break Red Sea blockade)
同胞のイスラム教徒・アラブ人が大量虐殺されているのに、なぜ中東イスラム諸国はイスラエルを本気で敵視しないのか。トルコは、与党AKPがハマスと同じムスリム同胞団で、今回の戦争でハマスがガザから追い出される代わりにエジプトやヨルダンの政権を取って拡大しそうなので黙認している。イランも親ハマスなので同様かも。だがサウジは、自国の傀儡であるエジプトやヨルダンがハマスに奪われるので嫌なはず。それとも、エジプトやヨルダンはサウジでなく米国の傀儡で、サウジは米傀儡への資金援助を肩代わりしてきただけだから、ハマスに交代していくのは許容範囲内(もしくは希望)なのか。
米英覇権体制が崩れて多極型の非米世界に転換した方が、サウジは石油でのピンはねが減って儲かるし、人権外交のくびきを解かれるなど、国際政治的にも自由になる。だからサウジは、イスラエルの行動を容認しているとか。(Two mln people may die in Gaza without world’s help – Turkish foreign minister)
イスラエルを潰してパレスチナ国家を作るなら、イスラエルが極悪な人道犯罪国家に転落した今が好機なのに、イスラム諸国はどこもイスラエル潰しをやろうとしていない。サウジは「パレスチナ建国が完了しない限りイスラエルと関係正常化しない」と宣言している。だからサウジはイスラエルを許していない、という見立てがある。この見立ては間違いだ。パレスチナ人はガザと西岸から追放され、パレスチナ国家は永久に失われる。
(Blistering Saudi Statement Slams Door On Normalization With Israel)
アラブ人は現実主義だから、いずれ、パレスチナ国家なしにイスラエルと和解するしかないなという話に転じる。イスラエルは、ヨルダンからエルサレム神殿の丘へのイスラム巡礼者の通行を保障すると言い、イスラム諸国はそれを受け入れる。パレスチナ建国は、英国の中東支配の一環としてのイスラエル弱体化策だった。米英の中東覇権が永久に続くなら、イスラエルの弱体化が確定できるパレスチナ建国が、イスラム諸国にとっても好都合だった。だが、もう米英支配は終わる。イスラム諸国の姿勢も変わる。米英は中東イスラム諸国を支配するのが目的だった。イスラエルの目的は、他国を支配することでなく、西岸ガザを含むイスラエル自身の国土確立と安全と発展だ。イスラエルは目的達成後、イスラム諸国と和解したい。イスラム諸国を主導するサウジやイランやトルコにとっても、米英支配よりイスラエルとの共存の方がはるかに良い。米英支配の一環であるパレスチナ国家の概念自体が、イスラム諸国の政権にとって「用済み」になっている。(In The Middle East The U.S. Has Reached The End Of Its Abilities)
ICJでイスラエルを提訴したのは、イスラム諸国でなく南アフリカだった。南アは、米英の人権外交策のおかげで、白人政権から黒人政権に転換した。黒人政権になった南アは、人権重視の一環として、イスラエルの人道犯罪を非難して提訴した。南アは、イスラエルに人道犯罪をやめさせるため提訴したのだろう。だが実際は、敗訴したイスラエルとその傀儡の米欧がICJの判決を無視したため、人道犯罪を裁くICJや国連の構造の方が権威失墜し無効化されてしまった。南アはそれに気づいているのかどうか。中国やロシアも、表向きイスラエルを批判しつつ、実質的に親イスラエルを続けている。サウジやイランがパレスチナ建国に拘泥せずイスラエルを放任しているのだから、中露が拘泥する理由はない。中共が繰り返している「パレスチナ建国が必須だ」という宣言は、サウジの宣言と同様、表向きだけの外交発言だ。中露も、米英の人権外交の標的にされてきたので、イスラエルが人権外交の構図を破壊するのを黙認(ひそかに歓迎)している。(イスラエルの戦争犯罪)
今回の流れの中で最も間抜けさを露呈したのはドイツだ。英国のライバルだったドイツは、第二次大戦の敗戦後(誇張捏造の疑いが濃いユダヤ人虐殺の)ホロコーストなどで極悪な人道犯罪国に仕立てられ、米英イスラエルに対して永久に土下座させられている。戦後のドイツは、人道犯罪を強く非難する国だったはずだ。だが、今回のイスラエルの人道犯罪に際してドイツは、米イスラエルの言いなりになってICJの判決を非難し、ガザ停戦に反対した。米イスラエルの傀儡であるドイツには、自主的な決定権が何もない。ドイツは、米英の言いなりになってロシア敵視もやってきた。人道犯罪を犯したイスラエルに対する支持表明を声高に言わされ続けているドイツを見て、ロシア政府は「やっぱりドイツは人道犯罪を好む国だったんだね」とやり返した。
(Russia reacts to Germany’s support for Israel in genocide case)
実のところロシア自身も、諜報力抜群のイスラエルに非米型世界の今後の運営で協力してもらいたいので、イスラエルの人道犯罪を黙認している。だがロシアは目立たないように親イスラエルをやっている。ドイツは傀儡国として、声高に親イスラエルを叫ばされて、ロシアに馬鹿にされている。ノルドストリームを米国に壊されたのに何も言えない。どこまでも哀れ。早くAfDに政権を取ってもらって米英から自立した方が良い。(The German establishment wants to ban a popular right-wing party. Here’s how it could backfire)
日本も、ドイツに負けない永久土下座の米英傀儡だ。だが、日本はイスラエルから遠い。日本の外相が(米国の要請で)イスラエルを訪問して支持表明しつつも、早く停戦するのが良いと言わせてもらうことは許され、全体として目立たない状態を維持できている。ガザとエジプトの境界線にあるラファの検問所は、まだ閉ざされている。エジプトは、政権をハマス=同胞団に乗っ取られたくないので、ガザ市民が自国に来るのを阻止している。だが、ガザ市民の飢餓はひどくなる一方だ。イスラエルは、ラファの検問所を軍事力で乗っ取ってガザ市民をエジプトに放出する策を示唆し始めている。
(Israel Announces It Will Attack Gaza Border City of Rafah)
(Philadelphi Corridor: How Gaza’s border could be a tipping point in Egypt-Israel ties)
イスラエルはハマスを潰すふりだけして温存している。ハマスとの戦争はまだまだ続く。ラファが開くのか開かないのか、それが最大の注目点だ。ガザ市民がラファを通ってエジプトに引っ越すと、パレスチナ人はアラブ人に戻り、パレスチナ問題が消えていく。(Hamas Returning To Northern Gaza, Reasserting Control In Some Areas)
今後の重要な人道問題は、パレスチナ問題を残すためにガザ市民を餓死させるのか、それともガザ市民の生命を優先してラファを開けるのか、という選択肢だ。「人権重視(笑)」の欧米リベラル派たちは、パレスチナ問題が重要だからラファを開けてはならない、と言っている。なるほど。正体見たり。
消されていくガザ(2024年2月25日)田中宇 イスラエルが3月後半に、ガザ最南部のラファに対する本格的な空爆や地上侵攻を開始する見通しになってきた。イスラエルは、イスラム世界が断食月(ラマダン)入りする3月10日までにハマスが人質全員(150人ほど)を解放しない場合、ラファ攻撃を開始すると宣言している。イスラエルはすでに散発的にラファ周辺を空爆している。ハマスは少しずつしか人質を解放しておらず、3月10日までの全員解放はなさそうなので、イスラエルは3月15-25日ぐらいにラファを本格侵攻する可能性が高い。(Israel Sets Timeline To Start Of Rafah Offensive, Issues Hamas An Ultimatum) 最南部のエジプト国境に面するラファと、その隣のハンユニスには150万人以上の避難民を含め、200万人以上のガザ市民のほとんどがいる。超過密状態だ。10月からイスラエルに攻撃され続けているガザは、廃墟にされた北部を中心に、大半の地域が破壊されて居住不能になり、ガザ市民の大半が避難民として最南部に逃げてきている。イスラエルは、超過密なラファを空爆するといっている。市民は逃げ場がなく、大量の死者が出る。 (Israeli Airstrike Hits Rafah, Claiming Lives and Sparking Outrage) ラファは、すぐとなりがエジプトだ。エジプト政府がラファの国境検問所を開けてくれれば、ガザ市民はエジプトに避難して生き延びられる。ガザにはもう逃げ場がないので、エジプトが唯一の避難先だ。だが、エジプトはラファの開放を拒否している。エジプトは、ガザに救援物資を入れることに積極的だが、ガザから市民が入国してくることは許さない。支援物資で食いつなげるようにしてやるからエジプトに入ってくるなという姿勢だ。イスラエルは逆に、ガザ市民をエジプトに追い出すことに積極的なので、ガザに支援物資を入れたがるエジプトや欧米の動きを検問強化などで邪魔している。(Israel Further Limits Aid Into Gaza, Leading to More Starving Children) ラファを開けると、ガザ市民の大半がエジプトに移動する。イスラエルは市民がガザに戻ることを拒否するので、ガザ市民は永久にエジプトに住むことになる。ガザはイスラエルに奪われたままになり、パレスチナ国家の建設が難しくなる。エジプト政府は、ガザ市民の入国を許せばイスラエルの思う壺で、「アラブの大義」であるパレスチナ国家建設を何より(ガザ市民の命よりも)重要と考えてラファ開放を拒否している。悪いのはイスラエルだが、イスラエルを非難している間にガザ市民がどんどん殺されていく。エジプトだけでなく、国連や国際社会も、パレスチナ国家建設を非常に重視してきた。イスラエルはずっと前からガザ市民をエジプトに(西岸市民をヨルダンに)追いやろうとしてきたが、国際社会はパレスチナ国家建設を理由にそれを許さず、パレスチナ人をガザと西岸に閉じ込めてきた。(イスラエルでなく米覇権を潰すガザ戦争) エジプト(やその背後の米サウジ)がラファを開放しない理由はもう一つある。それは、200万人のガザ市民がエジプトに引っ越すと、ガザ市民の多くは熱烈なハマス支持なので、エジプトでハマス=ムスリム同胞団の政治力が急増し、軍事政権が倒され、クーデター前にあったムスリム同胞団の政権が復活してしまう。アラブの春が再燃し、連動してヨルダンも王政が転覆されてハマス化していく。同胞団は、アラブ諸国(イスラム世界)全体をイスラム主義の政権に転換して統合することを目標にしてきた。同胞団が武装し、米国に操られつつテロをやるとアルカイダになる。ハマスは同胞団のパレスチナ支部だ。(ずっと続くガザ戦争) 同胞団は、共産主義や民族主義の代わりにイスラム主義を使った反植民地・反支配運動の国際組織なので、米欧や、数年前まで米傀儡だったサウジ王政などは同胞団を敵視してきた。反米反サウジだったイランはハマスを支援し、米欧はハマスをテロ組織とみなしている。イスラエルは、パレスチナ国家を作らせたくないので、米国の敵であるハマスをこっそり強化し、パレスチナ人がハマスを支持するように仕向け、テロリストであるハマスを支持しているパレスチナ人は全員テロリストだという理屈を使ってガザや西岸で弾圧を繰り返してきた。(イスラエルの虐殺戦略) 米国はそれを黙認してきた。そのイスラエルの策略を猛烈に強めたのが今回のガザ戦争だ。イスラエルは「ハマスを完全に潰すまでガザを攻撃する」と言いつつ、ハマスを弱めず市街の破壊だけ徹底にやる戦術をこっそり続けている。ガザ市民を皆殺しにされたくなければ、エジプトがラファを開けて市民のエジプト流入を許すしかないぞ、とイスラエルは加圧し続けている。イスラエルはこの加圧が脅しでないことを示すため、ガザをどんどん破壊して市民を大量殺害している。(Israeli Military Says Hamas Will Not Be Defeated in Gaza Offensive) ハマスはイスラエルと戦いつつ、自分たちがエジプトに追い出されてエジプトの政権を取っていく流れをイスラエルが作ってくれていることを自覚している。ハマス(同胞団)は、パレスチナを失うが、代わりにエジプトとヨルダンを得る。アラブの大義は失われるが、本音では不満でないだろう。 イスラエルは、ガザ開戦後、パレスチナ国家の創設を全否定し続けている。ネタニヤフ首相が提案したパレスチナ全否定を、議会は圧倒的多数で可決した(120定数のうち99賛成)。アラブ系と労働党だけが反対した。イスラエルは二度とパレスチナ国家を認めず、途中まで作られた国家体制を破壊し続ける。(Israeli Knesset Overwhelmingly Backs Netanyahu’s Rejection of a Palestinian State)(Netanyahu Defiant After Biden Phone Call, Rejects Push For Palestinian State) 以前(1995ラビン暗殺後)のイスラエルは、パレスチナ国家の建設をしぶしぶ認めていた。それは当時まだ強い覇権国だった米国が、パレスチナ国家建設を求めていたからだ。米国はその後、911テロ事件以後の稚拙で過激なテロ戦争や中東政権転覆策などによって覇権を浪費していったが、それを推進した象徴的な勢力は、米中枢に巣食ったシオニスト(イスラエル建国運動家)のネオコンだった。イスラエルにとって米覇権の強さが唯一の後ろ盾なのに、ネオコンは過激で稚拙な中東戦略を意図的にやって米覇権をわざと自滅させ、米覇権を弱めて露中イランなど非米側の勢力を強化して世界を多極化した。だから私は従来、彼らを「親イスラエルのふりをした反イスラエルの勢力」とか「隠れ多極主義者」と呼んできた。(ロシアの中東覇権を好むイスラエル) だがもしかすると、ネオコンは真のイスラエル支持者として、米国の覇権を自滅させ、世界を多極化したのかもしれない。なぜなら、ヨルダン川から地中海までのイスラエル建国予定地の中にパレスチナ国家を創設してイスラエルの弱体化を画策した張本人は、米国と、その黒幕(前覇権国)である英国だったからだ(米国は、英国の傀儡としてパレスチナ国家建設を求め続けた)。米英覇権が20年かけて自滅したところで、イスラエルがハマスとこっそり組んでガザ戦争を起こし、パレスチナ国家の消滅に向けて全力で動き出した昨秋以来、パレスチナ国家建設を本気で守ろうとしている強い勢力は全くいない。(The EU’s flagging credibility in the Middle East) 米国はイスラエルの傀儡を演じ、安保理でのガザ停戦案に対して拒否権を発動し続けている。米国の傀儡であるEUも、米国の言いなりでイスラエルを非難しない。イランとサウジは中国の仲裁で仲直りしたのだから、巨大産油国である両国が組んでOPEC+も巻き込み、イスラエルとその親密諸国に対する石油輸出を止めれば、1970年代の中東戦争時の石油危機の時のような政治力を発揮できる。だが、イランもサウジもそんなことはせず、口で非難するだけで、イスラエルがガザ市民を殺し続けるのを黙認している。サウジは、ガザ戦争が終わったらイスラエルと国交正常化する構想を捨てずに表明し続けている。(Blistering Saudi Statement Slams Door On Normalization With Israel) サウジは、パレスチナ国家の確立をイスラエルと国交正常化する条件としている。確立できないならイスラエルと和解しないという意図にもとれるが、その場合、今後パレスチナ国家が確立する可能性はほぼゼロなのだから、和解構想自体を表明する必要がない。 和解構想を表明し続けていること自体、サウジが、パレスチナ国家が作られなくてもイスラエルと和解する可能性があることを示している。米国は覇権隆盛時にイスラエルを加圧してパレスチナ国家を認めさせたが、今後の多極型世界でそんな強力な国はない。今後の中東を率いるサウジ(やイランやトルコ)は、パレスチナ国家をあきらめてイスラエルと和解していくしかない。(‘Hallucination’ or realpolitik? Netanyahu’s long shot at Israel-Saudi normalization) イランは、イスラエル潰しよりも、自国傘下のハマスがエジプトやヨルダンの政権を取っていくことの方を重視しているようだ。イスラエルは、シリアなどでイラン系の勢力を空爆して殺害・攻撃しているが、イランは通りいっぺんの口頭非難をするだけだ。トルコのエルドアンも、口ではイスラエルを強く非難するが、トルコからイスラエルへの石油供給を止めていない。トルコの与党(エルドアン政権)は(隠れ)ムスリム同胞団で、イスラエルがハマスにエジプトやヨルダンの政権を取らせてくれることの方を重視している観がある。(China’s ‘Shock’ Statement: Palestinians Have Right To Use ‘Armed Force’ Against Israel) ロシアや中国は中立だ。ロシアは親イスラエル、中国は親アラブで役割分担している。印度は反イスラムの一環で親イスラエル。ブラジルや南アフリカはイスラエル敵視だが戦争を止める力がない(だから気楽に非難できる)。BRICSは親イスラエルと反イスラエルで分裂してるから弱体化すると、米国側マスコミが書くが、非米側は米国側のように思想信条で敵味方を固定せず、もっと現実的で柔軟だ。むしろG7など米国側の方が、思想信条で敵味方を決めて自滅している。(Weighing the political fallout from Lula’s Nazi comment) 米英が覇権喪失してみると、残りの諸国(非米側)は、イスラエルがパレスチナ問題を丸ごと軍事的に潰すことにあまり反対していない。こういう状況を事前に踏まえた上で、イスラエルはガザ戦争を始めたのだろう。最近、トルコとカタール、UAEがイスラエルとハマスの仲裁に動き続けている。トルコとカタールはハマスと親しく、UAEはイスラエルと国交がある。仲裁内容は人質解放の話だけでない。エジプトにラファを開けさせることもおそらく議題になっている。(Turkey’s Erdogan receives red-carpet reception in Egypt, calls Sisi ‘brother’) エジプトは最近、ラファに接するエジプト国内の土地を使って、5万人を収容できる難民キャンプを整地した。キャンプは逃亡防止の高い壁に囲まれている。イスラエルがラファ空爆を本格化し、ガザ市民をエジプトに避難させないと殺されてしまう事態になったら、エジプト政府はラファ国境を少し開けて5万人以内のガザ市民を受け入れる予定にしたのだろう。キャンプ整地工事が発覚するのと同時期に、トルコのエルドアン大統領がエジプトを訪問し、シシ大統領と話をしている。(Egypt Building Walled Camp in Sinai Desert to Absorb Palestinian Refugees from Gaza) 問題は、ラファからエジプトに避難する人数が5万人をはるかに超えそうなことだ。イスラエルが本格空爆したら、ラファ周辺にいる150万人のほとんどが、エジプト側に逃げないと殺される状態になる。国際社会からエジプトに、ラファ国境を開けろという圧力・叫びが強まる。エジプト当局がラファを少し開け始めたら、イスラエルはここぞとばかりに空爆を激化し、ラファを人道的なパニック状態に陥れ、できるだけ多くのガザ市民をエジプトに追い出そうとする。(Egypt builds mysterious wall near Gaza – media) 5万人のエジプト側キャンプはすぐに満杯の超過密になり、数十万人が入りきれない状態になる。エジプト当局は、流入したガザ市民を難民キャンプに閉じ込めるのでなく、キャンプ外のエジプト(シナイ半島)での生活を許すしかなくなる。イスラエルは、ラファ周辺も含めてガザ全域の市街を破壊し続け、市民がガザに戻ってこれないようにする。イスラエルは今後のラファ本格攻撃で市民を全員エジプトに追い出し、ガザを消してしまうことを目標にしている。(Egypt Erects 8-Square-Mile Walled Enclosure In Sinai Desert For Rafah Refugee Spillover) パレスチナ人だったガザ市民は、もうパレスチナ(ガザ)に戻れなくなり、パレスチナ人でなくエジプト人(アラブ人)になっていく。パレスチナのもう一つの地域であるヨルダン川西岸でも、イスラエル入植者がパレスチナ人の村を焼き、抵抗する人々を殺しまくる極悪な民族浄化の殺戮が拡大している。この民族浄化も、誰も止めることができない。イスラエルは、西岸のパレスチナ人をヨルダンに追い出し、ガザ消滅と合わせ、パレスチナの存在を消そうとしている。(Starving Gaza: Egypt and Israel’s Rafah weapon) 米国は、イスラエルの動きを傍観・擁護するだけだ。米政府の上層部はネオコン系に乗っ取られている。たとえばガザ仲裁に努力するふりをしつつ何の成果も生まないブリンケン国務長官は、ユダヤ人でシオニストのネオコン系だ。彼らは、イスラエルがパレスチナを消していくことを許すだけでなく、イスラエルがパレスチナ人を大量虐殺しても米国や国連、国際社会が何も対応できない状況を作っている。その流れは、戦争を止める国連安保理の機能や、米英が覇権維持のためにやっていた人権外交の構図を破壊している。国連安保理の機能は、破壊されることによって、中露など非米諸国が、国連改革という名の国連の非米化・欧米の政治力を縮小させることをやりやすくする。 (War On UN – West Retaliates Against ICJ Order By Defunding Humanitarian Mission For Palestine) |
核の偽善:NUMEC、イスラエル、消えたウランの知られざる物語
1960年代、ペンシルベニア州アポロにあるアメリカの施設から最大600ポンド(約270キログラム)の高濃縮ウランが消失した。これは数十発の核弾頭を製造できる量である。この謎の中心にいたのが、NUMEC(核物質・機器会社)という企業であり、その創設者ザルマン・シャピロは、著名なシオニストであり、イスラエルと深い関係を持っていた。
FBI、CIA、原子力委員会によって調査が行われたものの、この事件は解決されることはなかった。数年後、機密解除された文書によって、このウランがイスラエル、具体的にはネゲブ砂漠にある極秘の核施設ディモナに密輸されたことを強く示唆する証拠が明らかとなった。
1963年、ジョン・F・ケネディ大統領は、イスラエルの核開発の野望に危機感を抱き、全面的な情報開示とアメリカによる査察を要求した。しかし、イスラエルの首相ダヴィド・ベン=グリオンはこの要求をはぐらかし、引き延ばし、最終的には辞任した。後任者も同様の対応をとった。その後、ケネディ大統領が暗殺され、アメリカからの圧力は終焉を迎えた。
それ以来、どのアメリカ大統領もイスラエルの核計画に正面から向き合おうとはしていない。
現在、イスラエルは100発から300発の核弾頭を保有していると推定されているが、それにもかかわらず:
- 核拡散防止条約(NPT)への署名を拒否している
- 国際的な査察を一切受け入れていない
- 制裁も国際的な責任追及も受けていない
一方で、NPTに加盟しており、核兵器を保有している証拠もないイランは、依然として過酷な制裁、サイバー攻撃、要人暗殺、そして絶え間ない軍事的脅威にさらされている。これは「核のアパルトヘイト」である。つまり、同盟国には寛容で目をつむり、敵対国には証拠の有無にかかわらず悪魔化のレッテルを貼るという世界だ。もし各国の指導者たちが本気で核拡散を止めたいと考えているなら、最初に問いただすべきはテヘランではなく、テルアビブであるべきだ。
NUMECからイスラエルへの高濃縮ウラン(HEU)移送の疑惑は、核拡散の歴史において最も論争的で、なおかつ未解決のエピソードの一つである。確たる証拠は今なお見つかっていないものの、状況証拠、情報機関の疑念、そして機密解除された文書の数々は、秘密裏の作戦が行われた可能性を強く示唆している。
🏭 NUMEC:その背景
- **NUMEC(Nuclear Materials and Equipment Corporation)**は、ペンシルベニア州アポロに拠点を置いていた。
- 米国原子力委員会(AEC)から、兵器級ウランの取り扱い許可を受けていた。
- 同社の創設者で社長のザルマン・シャピロは、有名な核科学者であり、親イスラエル派(シオニスト)としても知られ、イスラエルの防衛・諜報機関との深いつながりがあった。
🧪 消えたウラン
- 1960年代後半、NUMECでは約90〜270キログラム(200〜600ポンド)の高濃縮ウランが行方不明であることが判明。これは10〜30発分の核兵器に相当する量だった。
- 当初の調査では、不十分な記録管理や環境への漏洩の可能性が指摘された。
- しかし1970年代初頭、米政府当局者の間で「イスラエルへの秘密移送」を疑う声が強まった。
📁 証拠と疑念
- イスラエル当局者の訪問:1960年代に、**モサド(イスラエル諜報機関)関係者や核開発責任者(後にスパイ事件で有名になるラファエル・エイタンなど)**がNUMECを訪問していた事実が記録されている。
- CIAとFBIの懸念:1976年のCIAメモには「イスラエルへの移送があった可能性が高い」と記されているが、決定的証拠はない。
- 1977年GAO報告書:米会計検査院は、事実確認を著しく妨げられたとしながらも、核物質の移送が行われた可能性を否定しなかった。
- ハイマン・リッコーバー海軍大将(米原子力海軍の父)は、「イスラエルが奪ったと信じているが、証明することはできないだろう」と語ったとされる。
🇮🇱 イスラエルの核開発との関係
- イスラエルの核兵器開発は、ネゲブ砂漠にあるディモナ原子炉施設を中心に、この時期急速に進んでいた。
- 高濃縮ウランの入手は、国内での核物質生産が本格化する前の、開発初期段階において極めて重要な支援となり得た。
- イスラエルは一貫して**「核の曖昧戦略(nuclear opacity)」**を維持しており、核保有の有無について公式には否定も肯定もしていない。
🧨 政治的な影響
- ジョンソン、ニクソン、カーター各政権はいずれもNUMEC問題の報告を受けていたが、いずれも起訴や公開調査に踏み切ることはなかった。
- 一部では、この事件がイスラエルとの外交的対立を避けるため、意図的に封印されたと考えられている。
- ケネディ政権はイスラエルに対し、核計画の完全な透明性と査察を求める強硬な姿勢を取っていたが、1963年のケネディ暗殺で方針は頓挫し、リンドン・ジョンソン大統領はより寛容な立場を採った。
📌 なぜ今も重要なのか
- NUMEC事件は、今日に至るまで**米国の「核のダブルスタンダード」**を象徴する事例として引用される。
- これはまた、政府による監督体制の限界、情報機関の失敗、そして国家戦略が不拡散原則に優先するという現実を浮き彫りにする問題でもある。
🧾 要約
NUMECからイスラエルへの高濃縮ウランの移送について、米政府が公式に認めたことはない。しかし、機密解除された文書、内部関係者の証言、情報機関の評価などは、秘密裏の移送が行われた可能性を強く示している。この事件は、冷戦下の核開発史における「語られざる物語」であると同時に、核を巡る国際政治の偽善を象徴する極めて重要なケーススタディである。
【集会のお知らせ】
現在、毎日続くイスラエルとパレスチナの衝突のなかで、そこに暮らしている人の命や生活が脅かされています。民族や宗教に関わらず、命の危険・尊厳に対する脅威を抱えているのはそこに住んでいる人々です。このことをやはり私たちは真剣に考えなければならないと思います。それに対して、日本社会、国際社会としてどういった対応をするべきなのか。どういったアプローチができるのか。これを模索する努力として、ワリード・シアム駐日パレスチナ大使を千葉イスラーム文化センターにご招待して、日本に住む市民との緊急対話集会を開催することにいたしました。
詳細は以下の通りです。
駐日パレスチナ大使との緊急対話集会:私たちにできることを考える!
日時:2023年10月27日金曜日18:30-20:00
場所:千葉イスラーム文化センター3階
事前登録が必須になります(無登録参加不可)
登録はこちらhttps://forms.gle/hj9NkFXiYrGSeT8E7

