【最新ニュース:2026年8月19日】
「イスラエル軍、5歳のヒンド・ラジャブが乗った車に発砲したことを初めて認め、刑事捜査を開始」

https://edition.cnn.com/2026/08/19/middleeast/israel-military-idf-hind-rajab-firing-intl

【事実の確認】
2024年1月29日(すでに2年と半年が経過している!)、ガザ市で5歳のパレスチナ人少女ヒンド・ラジャブは、家族とともに車で避難していた。イスラエル軍による軍事作戦が続く中、ヒンドは叔父、叔母、いとこたちと車に乗って移動していた。しかし、車は銃撃を受け、乗っていた家族の大半が死亡した。ヒンドは負傷しながらも生き残り、死亡した家族に囲まれた車内に取り残された。
その後、ヒンドはパレスチナ赤新月社の緊急電話につながった。彼女は泣きながら救助を求め、自分が車の中に一人で残され、周囲にイスラエル軍の車両がいることを伝えた。通話記録には、幼い少女が恐怖の中で救助を求め続ける声が残されている。この通話は、その後の事件検証において極めて重要な証拠となった。
同時に、ヒンドのいとこで15歳のライアン・ハマダも、救急隊員と電話で話していた。しかし、通話中に銃撃が起こり、ライアンは死亡した。Forensic Architectureと音響分析グループEarshotによる後の分析では、ライアンが銃撃された位置と周辺の状況から、発砲地点は車から約13~23メートルの距離だった可能性が示された。衛星画像などを組み合わせた調査では、事件当時、現場周辺にイスラエル軍の装甲車両が存在していたことも確認された。
赤新月社はヒンドを救出するため、救急車を派遣した。救急隊員のサイード・アブ・ハシーブとユセフ・ゼイノは、危険な地域に入り、ヒンドのいる車両へ向かった。しかし救急車は途中で連絡が取れなくなった。後に発見された救急車は激しく損傷しており、二人の救急隊員も死亡していた。国連関連資料も、二人がヒンドの家族を救出しようとしている際に救急車が攻撃を受け死亡したと記録している。
事件後、イスラエル軍は当初、現場周辺にイスラエル軍部隊がヒンドの車を攻撃したという事実を否定した。しかし、その説明には疑問が生じた。衛星画像、音声記録、現場映像、弾痕などを分析したForensic Architectureの調査は、現場付近にイスラエル軍の戦車が存在し、車両に大量の銃弾が撃ち込まれた可能性を示した。同調査は、ヒンドの車に約335発の銃弾が撃ち込まれたと分析している。
さらに2024年には、ワシントン・ポストなども衛星画像や現場資料を独自に分析し、イスラエル軍の装甲車両が現場近くに存在していたことを確認した。救急車についても、その損傷が大口径兵器による攻撃と一致するとの専門家分析が報じられた。つまり、「イスラエル軍は現場にいなかった」という当初の説明と、後から明らかになった物的証拠との間には大きな食い違いが存在した。
その後、2026年6月、国連の独立国際調査委員会は、ガザにおけるパレスチナ人の子どもに対する攻撃などについて調査結果を公表した。国連調査委員会は、イスラエル軍による行為について戦争犯罪やその他の国際犯罪に関する重大な問題を指摘している。ヒンド・ラジャブ事件についても、国際人道法の観点から重大な検討対象となっている。
https://www.un.org/unispal/document/uncoi-press-release-23jun26/?utm_source=chatgpt.com
そして2026年8月19日、事件から約2年半が経過して、イスラエル軍は重要な方針転換を発表した。イスラエル軍は、内部調査の結果、当時イスラエル軍部隊がヒンドと家族が乗っていた車に発砲していたことを認め、さらに救助に向かった救急車への攻撃についても問題があったとして、刑事捜査を開始すると発表した。これは、それまでの「現場に軍は存在しなかった」という説明から大きく変化したものである。
ヒンドの家族は、このイスラエル軍による内部捜査だけでは十分ではないとして、独立した国際的な捜査を求めている。家族側には、イスラエル軍自身による調査では、誰が命令を出し、誰が実際に発砲し、なぜ民間人と救急隊員が殺害されたのかを十分に明らかにできないのではないかという不信感がある。
【所感】
この事件で重要なのは、単に「戦争中に子どもが死亡した」ということではない。問題は、民間人の家族が乗った車への攻撃、負傷した幼い少女が車内に取り残されたこと、救助要請が明確に伝えられていたこと、そしてその少女を救うために派遣された救急隊員まで死亡したことである。国際人道法では、民間人は攻撃から保護され、医療要員や医療輸送も特別な保護を受ける。したがって、これらの行為が故意の攻撃であったのか、軍事的必要性が存在したのか、攻撃を命令・実行した者にどのような責任があるのかは、戦争犯罪の成否を判断する上で極めて重要な問題となる。
ヒンド・ラジャブ事件は、戦争において「誰が敵であるか」という軍事的判断だけではなく、「誰が民間人として守られるべきなのか」という国際人道法の根本原則を問いかけている。幼い少女が最後に残した救助要請の声は、単なる一つの事件の記録ではない。戦争の最中であっても、子ども、民間人、そして救助に向かう医療従事者の生命を守る義務が存在することを、世界に突きつける証言となっている。
イスラームの教えは戦時中であっても女性や子供の殺害を明確に禁止している。例えば、次のようなハディースがある。「イブン・ウマルが伝えたところによると、アッラーの使徒(平安と祝福あれ)のいくつかの遠征(ガズワ)の際、一人の女性が殺されているのが発見された。そこで、アッラーの使徒(平安と祝福あれ)は、女性と子供を殺すことを禁じた」(サヒーフ・アル=ブハーリー 3015)とある。
世界はこの事実から目を背けてはいけない。